今や「共働き」は珍しいことではなくなりました。どの家庭でも、両親ともに働いている風景が当たり前のように見られるようになっています。ただ、それは単なる数字の話ではなく、家庭のあり方や子どもの育ち方にも少なからず影響しているのではないでしょうか。今回は、5月13日に結果が公表となった厚生労働省『第14回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)』のデータをもとに、令和の子育て世帯のリアルと、そこで育つ子どもたちの今を考えていきます。
母親の8割が働く「中学2年の世帯」…厚労省の調査が示す、共働き社会が抱える「子育ての代償」 (※写真はイメージです/PIXTA)

母親の働き方はどう変わったのか?

『21世紀出生児縦断調査』は、長期にわたって子どもたちの成長を追跡するものです。平成22年(2010年)生まれの子どもたちがどのように成長し、生活環境が変化していくかを継続的に見守ります。調査によれば、平成22年に生まれた子どもが(調査時)中学2年生となった時点で、母親が働いている家庭は全体の84.1%に達しています。10年前の同調査と比べると、母親の就業率は約5ポイント上昇しており、「母親も仕事を持つ」ことがより一般的になってきたことがわかります。

 

なかでも注目すべきなのは、出産後も「常勤」という働き方を継続する母親が増えている点です。出産の前から常勤で働いていた母親が、出産半年後、そして中学2年になるまでその働き方を続けていた割合は、32.4%。10年前の同様のデータと比較しても、8ポイント以上の上昇が見られます。

 

とはいえ、すべての母親がフルタイムで働いているわけではありません。実際には、「パート・アルバイト」といった柔軟な働き方を選ぶケースも多く、第14回調査では、44.3%がそのような形で働いていると報告されています。家庭の状況や自身のライフスタイルに合わせて、働き方を選べるようになってきたことが、こうした数字からも見てとれます。

親の働き方が子どもの生活に与える影響

親がどのように働いているかは、子どもたちの毎日の生活習慣にも少なからず影響を与えています。たとえば、「朝食をとるかどうか」。一見小さなことのように思えますが、実は子どもたちの健康や学習意欲に関わる重要な生活習慣のひとつです。

 

調査によれば、平成22年出生児の朝食摂取率は依然として9割を超えているものの、「朝は食欲がない」という理由で朝食をとらない子どもが増えてきているとのこと。一方で、「時間がない」という理由はやや減っているようです。このことから、単に忙しさが原因ではなく、体調や生活リズムそのものが影響している可能性が考えられます。

 

また、朝食を抜く子どもほど、間食に頼る傾向が強いことも明らかになっています。特に「お菓子」や「アイス」など、栄養バランスの偏ったものを口にするケースが目立ちます。親の働き方による生活リズムの変化が、子どもたちの食習慣にも波及しているのかもしれません。