今や「共働き」は珍しいことではなくなりました。どの家庭でも、両親ともに働いている風景が当たり前のように見られるようになっています。ただ、それは単なる数字の話ではなく、家庭のあり方や子どもの育ち方にも少なからず影響しているのではないでしょうか。今回は、5月13日に結果が公表となった厚生労働省『第14回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)』のデータをもとに、令和の子育て世帯のリアルと、そこで育つ子どもたちの今を考えていきます。
母親の8割が働く「中学2年の世帯」…厚労省の調査が示す、共働き社会が抱える「子育ての代償」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「自分の将来」を描くことのできない子が増加

子どもたちは将来のことをどれくらい具体的に考えているのでしょうか。調査によると、「なりたい職業がある」と答えた中学2年生の割合は35.8%で、10年前の同年齢の子どもたちと比べて約7ポイント低下しています。将来に対するイメージが曖昧な子どもが増えている印象です。

 

一方で、将来をしっかり考えている子どもほど、家庭での会話が多いというデータもあります。進路や夢について「親と話す機会がある」子どもは、自分の将来像を具体的に描きやすい傾向があるようです。やはり、日々のコミュニケーションが子どもの心の成長に与える影響は大きいのだと感じさせられます。

 

また、思春期に入ると、子どもたちは悩みや不安も抱えやすくなります。中学1年生から2年生にかけて、「悩みがある」と答えた子どもの割合が増加した点は見逃せません。成績や進学、友人関係に至るまで、その内容はさまざま。相談相手としては「母親」「友人」「父親」の順に多く、家庭内での支えが重要な存在となっていることが伺えます。

 

このように、共働き家庭が当たり前になったことで、家族のかたちは着実に変わりつつあります。ただ、それは単なる「働く・働かない」の問題ではなく、子どもたちの生活、心の在り方にも静かに影響を及ぼしているのです。

 

「自分の将来に対して具体的なイメージがわかない……」

 

このような子どもが増えているのは、親子のコミュニケーションの減少とリンクします。「悩みがある」と答えた子どもの割合が増えていることにも影響しているでしょう。共働きが当たり前の時代、忙しい日々の中でも、ちょっとした会話や生活のリズムづくりに目を向けることが、これからの子育てにはますます大切になってくると考えられます。